2024年12月10日(火)、銀座十字屋ディリゲント事業部ショールームにて、EIZO株式会社、株式会社セコニック、ヴィンチェロ株式会社、銀座十字屋ディリゲント事業部の協賛による写真・映像クリエイター向けセミナー「GINZA Imaging Academy Vol.1」が開催されました。当協会の代表である久保田翔也が講師として登壇し、プロフェッショナルフォトグラファーを対象に「カラーマネジメント」をテーマにした講義を行いました。

GINZA Imaging Academyは、毎回異なるテーマを設け、プロのフォトグラファー、ビデオグラファー、シネマトグラファーを招き、実務に役立つノウハウを提供するセミナーシリーズです。記念すべき第1回目となる今回は、カラーマネジメントに焦点を当て、定員20名の枠に全国各地から多くの応募があり、早期に定員に達しました。ご応募いただいた皆様に、心より感謝申し上げます。

<セミナー内容>
本セミナーでは、撮影実践と座学を組み合わせたカラーマネジメントとフードフォトに関する内容が展開されました。実際に撮影しながら光を調整し、黒レフを使用して光を作り出したり、LEDライトを用いて写真全体の色味を調整する方法を解説。今回使用したLEDライトは、銀座十字屋ディリゲント事業部提供の高演色性を誇るRotolightのLEDライト。


<実践撮影>
講義の後は、講師による実践撮影が行われ、参加者は間近でそのプロセスを見学できる貴重な機会となりました。

シュトーレンの撮影
最初の被写体はシュトーレン。シンプルな被写体ながら、光の調整や色の再現性を試すのに最適な題材です。講師はまず、カラーチャートの正しい使い方をレクチャーし、正確な色管理の重要性を解説。カラーチャートを適切にフレームに入れることで、撮影後のカラー補正がスムーズになることを示しました。
続いて、露出計を使用して光量を計測。参加者の中には露出計を使ったことがない方も多く、講師が実際に操作しながら、どのように最適な露出を設定するかを説明しました。露出計を用いることで、目視では判断しづらい微妙な光の変化も正確に測定できることに、参加者は感心している様子でした。
撮影では、黒レフを使って光をコントロール、カットする手法を実演。シュトーレンの質感を際立たせるため、光の角度を調整しながら、影の使い方やライティングのバランスを説明しました。さらに、暖色に設定したLEDライトとストロボを組み合わせることによってを用いることで、より温かみのあるトーンに仕上げるテクニックも紹介されました。






チョコレートの撮影
次に、チョコレートの撮影を実施。1灯ライティングを用い、カカオパウダーの上に無造作にチョコレートを落とし、その跡をスタイリングの一部として活用する手法を披露しました。
この手法は、化粧品撮影のアイデアから着想を得たもので、写真のアイデアストックの重要性についても解説。普段から多くの写真を研究し、新たな発想を取り入れることの大切さが強調されました。
ライティングの調整によって、チョコレートの光沢を最大限に引き出すテクニックも紹介。光の角度を変えながら、表面の反射をコントロールすることで、質感の違いをより明確に表現できることを示しました。





マカロンの撮影
続いて、マカロンの撮影を行いました。
マカロンは、単なる静物撮影ではなく、割ることで断面を強調し、食感を伝える手法を実践。また、スパイスやナッツを周囲に散らし、よりシズル感を高める構成を説明しました。ライティングでは、柔らかい影を作ることで、マカロンの質感を引き立たせるポイントが紹介されました。




クリスマスケーキの撮影
クリスマスシーズンということもあり、クリスマスケーキを撮影。人の「手を加える」ことで、より温かみのあるビジュアルを作る技法を解説。実際にケーキを持ち、手の位置や角度、光の当て方を工夫しながら撮影を進めました。手元の肌の色とケーキの色味のバランスを考慮し、よりナチュラルな雰囲気を演出する方法も紹介。
さらに、ホワイトバランスの調整によって、クリームの白さを際立たせるポイントも実演。演色性の高いライトを使用することで、実際の色に忠実な再現ができることを示しました。


セミナーで撮影したイメージカットの一部抜粋



座学:カラーマネジメントの重要性
実践撮影の後は、カラーマネジメントに関する座学を実施。多灯ライティング時のCRI測定値の把握やライトの色調整について、過去の撮影現場の資料やテキストを用いて解説し、ストロボの演色性の重要性を強調しました。また、EIZO株式会社によるPCモニターのカラーキャリブレーションの実演も行われ、参加者は実際の調整プロセスを学ぶ機会となりました。


EIZOの担当者さんによるモニターのカラーキャリブレーションの実演。

フリータイムと機材体験
休憩時間やセミナー終了後のフリータイムでは、フードフォトに関する質問に加え、EIZOのキャリブレーション、セコニックの露出計・カラーメーター、ヴィンチェロのCapture One、銀座十字屋ディリゲント事業部のRotolight LEDライトなど、使用機材について各担当者に質問したり、実際に手に取って試したりする機会が設けられました。




デジカメWatchさんの取材も入りました。





3時間にわたるセミナーは、終始、和やかな雰囲気で撮影技術とカラーマネジメントに関する深い知識を習得できる充実した内容となりました。実践撮影を通じて、光の扱いや色の調整方法を具体的に学ぶことができ、参加者にとって大きな収穫となったようです。また、座学では、理論的な理解を深めるだけでなく、実際の機材を用いたデモンストレーションを通じて、プロフェッショナルの現場で活かせる技術を体感することができました。
フリータイムでの、機材の実演や質疑応答を通じて、主催各担当者、参加者同士の情報交換も活発に行われ、実務に即した意見や体験談を共有する貴重な機会となりました。
ご参加いただいた皆様、そしてご協力いただいた関係者の皆様に、改めて心より感謝申し上げます。
使用機材
株式会社銀座十字屋 ディリゲント事業部 英国Rotolight社のLEDライト
株式会社セコニック
カラーメーター「スペクトロマスターC-800」
EIZO株式会社 27型カラーマネジメント液晶モニター「ColorEdge CG2700S」
EIZO株式会社 27型4K UHDのカラーマネージメント対応液晶モニター「ColorEdge CS2740」
株式会社ヴィンチェロ モニターキャリブレーションツール「Calibrite Display 123」
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